激変する世界、変わらないニッポン--野口悠紀雄×ちきりん白熱対論「数の突破力を教えよう」番外編・その1
ちきりん なるほど。それに、統計がたくさんあって、数字がたくさんあると、メディアも報道するし、研究や調査も多くなりますよね。地価関連の統計が多いことによって、「地価が経済活動に重要」といったミスリーディングが起こりえる原因になると思います。
野口 作ったときは重要だったのですが、それが残るのが問題なのです。
ちきりん 理屈が時代に合わなくなってきたときに、その理屈を変えるべきか、考えないといけないということですね。経済実態を表すのに、GDPが本当にいいのかどうかみたいな議論も常にありますよね。
かつては、町内やアパートの中で、「子供が大きくなったから三輪車をあげる」といったおカネを介在させない取引をしていたが、最近はそれをネットを使ってやり始めている。これが大きくなれば個人消費を代替し始めます。まあ、まだそんなに額が大きいわけではないのでしょうが、こういうのがGDPにはまったく入らない。
野口 GDPに関しては昔からいろいろ議論があるのです。たとえば、日本の農家の生産は大部分が自家消費ですが、これはGDPに入らない。そうした問題があるから、GDPが完璧だと思っている人は一人もいない。でも「およそ正しい」とは思っている。
中国の統計などと比べてみたら明らかに日本の統計はよくできています。ただ、外国との比較ではやはり米国の統計が一番よくできている。先進国の名に値します。
ちきりん 米国は学問として統計の取り方をしっかり教えているのですね。
野口 需要があり、政策に活かされている。ウェブの反応速度も速い。
ちきりん 政策シンクタンクが、統計調査について要望を出したり、フィードバックをしたりっていうことが行われているからでしょうか。