なぜAmazonは反対意見を歓迎しつつも決断が速いのか? 忖度だらけの日本企業が勝てない決定的要因

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

本書『マネジメントの原点』では、下記のような処方箋を提示しています。

まず、反対意見を建設的なエネルギーに変えるためには、まずリーダーとメンバーの間に「2本の境界線」を設けることが不可欠です。多くの人は、「聞くこと」と「同意すること」を混同してしまい、反対意見を言えば人間関係にひびが入るという恐怖を抱いています。

1本目の境界線:情報を受容する自由――相手の主張を、まずは「ただの情報」として受け取ります。感情を排して事実や要点を要約して返す「一次受容」に徹することで、相手は「自分の声が届いた」というリスペクトを感じることができます。
2本目の境界線:意思決定の自由――受け取った情報に対し、それを採用するかどうかを自律的に判断します。「あなたの考えは理解しましたが、今回はお受けできません」という二段構えの対話を行うことで、押し付けられる感覚を排除し、対等な関係性を守ることができるのです。

この境界線があることで、メンバーは「言っても評価に響かない」という安心感を得て、リスクや異論を早期に表明できるようになります。

「反対する権利」が本物のコミットメントを生み出す

さらに、本来の「Disagree and Commit」を機能させるには、リーダーが「反対意見を堂々と表明する権利」を明示的に保障しなければなりません。

Amazonでは、会議の議事録に「誰が反対したか」まで記載するルールを採用しているそうです。これは、反対した事実を隠すのではなく、「反対したけれど、決定には全力でコミットする」という姿勢こそが高く評価される文化があるからです。

自分の意見が採用されなかったとしても、「正当に聞いてもらえた」というプロセスへの納得感があれば、人はその決定に対して主体的に動くことができます。逆に、反対意見を封じ込めて得た合意は、表面的な従属しか生みません。反対意見を言う部下を排除するのではなく、彼らが安心して異論を唱えられる環境を作ることこそが、組織の実行スピードを最大化する最短ルートなのです。

堀田 創 Hajime Institute/株式会社シナモン創業者
ほった はじめ / Hajime Hotta

AI研究者・認知科学研究者。AI関連研究で博士号取得後、連続起業家として活躍。シリウステクノロジーズ(ヤフーにより買収)のChief Scientistを務め、ネイキッドテクノロジー(ミクシィにより買収)の創業・売却後、Cinnamon AIおよびNexus FrontierTechを設立。技術に立脚したビジネスをゼロから立ち上げ、成長・拡大・売却へと導いてきた実績を持つ。現在は、最先端のAI研究と認知科学の橋渡し役として、企業が「認知的AI」を通じてビジネス価値を最大化できるよう支援している。著書に『マネジメントの原点――協働するチームを作るためのたった1つの原則』(東洋経済新報社)、『チームが自然に生まれ変わる――「らしさ」を極めるリーダーシップ』『ダブルハーベスト――勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』(ともに共著、ダイヤモンド社)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事