海外のお客さんの行動を先取りするような店舗を--ローソン社長兼CEO 新浪剛史
だから、不可思議に思うことは必ず消費者主権に変わっていくと思っている。そう考えると、新興国で民度が上がれば、やっぱり社会インフラとしてのコンビニが必要になってくる。時間はかかるが、必ず経済発展するだろうなと思うんですね。
日本採用の中国人が企業理念の伝道師に
──海外では上海に統括会社を設立。店舗数ではセブン・イレブンやファミリーマートの後塵を拝する中国での巻き返しを図っています。
日本と違ってサプライチェーンがしっかり確立されていないので、国営、非国営を問わず現地企業との連携が必要になる。ローソンは三菱商事系列でもあり、インフラを含めバックアップする仕組みがある。アライアンスを広げる中で、資本関係も持てればよいと考えている。ただし経営権は上海のように85%とか、100%とか、圧倒的なシェアを握る。
これまで日本でコンビニを経営して、「ローソンスタンダード」ともいうべき企業理念を持った。それは、社会のインフラであるという自負を持ち、その機能を果たしていくこと。ただの金儲けではない。上海、重慶、大連、北京と、進出した現地の社員にもこの理念を理解してもらうことが重要だ。
その際、啓蒙の助けとなるのが、日本で採用した中国人社員。今年は清華大学からも入ったが、重要なのは日本語で理念を理解していること。なぜなら、日本のコンビニが最も進んでいるからだ。小商圏における生産性の高さと、必要不可欠プラスアルファの品ぞろえ。店の運営に加えて、メーカー機能と物流機能も自社で開発し、協力企業と連携する特異な業態。いわば、「メーカー直販業」。中国においても、原料から弁当工場、お店まで一気通貫でコントロールできる仕組みを構築する。
──外国人社員に、企業理念をどのように教え込むのですか。
現地トップがテーブルを囲んで、「マチのほっとステーション、地域になくてはならない存在になるにはどうすべきか」など、ディスカッション形式で伝えていく。海外でも、地域の顧客行動の変化を先取りするような展開をしたい。