海外のお客さんの行動を先取りするような店舗を--ローソン社長兼CEO 新浪剛史
2008年から本格的に始まった外国人採用だが、彼らが海外へ赴任すると、驚くほどリーダーシップを発揮して現地をまとめる役割を果たしてくれる。また、日本人社員の意識変革にも役立っている。海外赴任を希望する社員は以前5%程度だったが、外国人と机を並べて働くようになると、最初の違和感は徐々に消えていき、自分が海外へ行くことに抵抗がなくなってくる。今は3~4割が海外赴任に手を挙げる。
ネット時代にこそリアルの店舗が必要
──15年度に中国で5000店という目標もあるが、店舗数を一気に拡大するためにはM&Aも必要になってくると思います。ただ、M&Aでは個々の店舗に企業理念を植え付けにくいのでは。
そんなことはない。資本比率において51%以上のマジョリティを取れば、やりやすいだろう。逆にいえば、そうできないM&Aはやらない。現地資本のコンビニは総じて赤字なので、何か違う手法を取り入れたい意識の強い経営者が多い。加えて、そこが成長市場であり、「明日は今日よりよくなる」と思う人が多い地域ならば、企業理念を理解し手を組もうとする企業も出るだろう。
──ミャンマーに進出しますね。
今は発展途上だが、必ず経済発展が進み、コンビニが必要な社会になる。物流や工場など、細かい詰めが悩ましいが、交渉を続けていく。
周辺国では、日本メーカーも現地工場を多く持っている。だから関税負担なども考えてサプライチェーンを構築できる。今後の関心はFTA(自由貿易協定)。それも日本とのFTAだけでなく、ASEANやAPEC加盟国間でのFTAをどう活用するかに移る。
──アジアの次の攻略エリアは。
ローソン発祥の地、米国だ。ガソリンスタンド内のコンビニが多いが、日本のコンビニに近いのは、ウォルグリーンやCVSケアマークなどの薬局チェーン。都市の中心市街地にそういった小型店が増えているが、日本のコンビニのように商品の売れ筋や在庫の管理がまだ徹底されていない。ムダを排除して、生活に必要な品目に絞り込むノウハウがある日本のコンビニなら、米国でも十分に発展する可能性が大きい。