海外のお客さんの行動を先取りするような店舗を--ローソン社長兼CEO 新浪剛史
人口減少と少子高齢化に直面する国内消費市場で、コンビニエンスストアは今期、大手3社がそろって過去最高純益を更新する計画だ。中でも国内2位のローソンは独自の経営モデルで拡大を狙う。国内外で積極展開する同社の戦略の要諦を、新浪剛史社長に聞いた。
──一時は市場飽和説も唱えられたコンビニ業界が元気です。復活の理由は何ですか。
消費者の行動パターンがものすごく大きく変わってきている。原油高のため、ガソリンを燃やして車で遊びに行くよりも、近場で好きなもの、必要なものをプラスアルファで買う。そういった流れをつかめた。
もちろんコンビニも何もしなかったわけではない。私は社長就任3~4年目から、野菜や生肉を取り扱う「生鮮コンビニ」の時代が来ると思っていた。なぜかというと、働く女性が増えて、料理をしなくなってくるからだ。世帯当たり人数が2・5人を切る中で、スーパーで安く大量に買っても、冷蔵庫の中で腐らせてしまう。だったら小分けにしようと、生鮮中心の「ローソンストア100」を始めた。
現在、通常店のローソンでも生鮮の品ぞろえを強化し、ハイブリッド店と呼んでいるが、5000店まで拡大した。既存の店を強化する視点が大切で、そのために健康重視や天然素材にこだわった「ナチュラルローソン」もつくった。エッジを立たせた店があるから、他社から複合店舗の話も出てくるんだ。
──店舗展開や海外進出には、独自の視点をお持ちですね。
誰もやったことのないものだから失敗は起こる。ただ、いちばん利益の出るメインストリートは変わっていく。その変化の流れを読み、挑戦していくのが経営者としての役割だと自負している。
今おかしいと思うことは必ず裁定される、と考えています。私は最初に病院給食の経営を始めたが、そのとき、夕方の5時に冷たい食事が当たり前に出ていたが、これはおかしい、絶対変わると思った。その後を見ると、やっぱり大幅に変わりましたね。