寂しい思いをさせた娘が教えてくれた…元・自衛隊女性幹部が語る【人生には基地が必要】という実感
海外派遣から戻ると、机の上に離婚届が置かれていた――そんな話は珍しくありません。長時間労働や出張が続くビジネスの現場でも、「いないこと」に慣れすぎた関係が静かに冷えていく構造は同じです。
けれども、それは冷たい結末ではなく、「想定の不足」かもしれません。完璧に理解し合えなくても、あらかじめ「いない時間」を想定して備えることはできます。
そばにいられないときこそ、支え合える仕組みを基地に装備しておく。それが、本当の思いやりです。
娘が教えてくれた「原点」
自衛隊で防災担当として勤務していた頃、私はまだ小学生にもならない娘にこう伝えていました。
「雨がたくさん降ったら、お母さんは家に帰れないこともあるよ」
海外派遣のときも、世界地図を見せながら任務の目的を話しました。それでも娘は、不平を言いませんでした。娘がはじめて「寂しかった」と言ったのは、私が退職したあとのことです。
身内に不幸があった1週間後、娘には英語のスピーチの発表会が控えていました。私は「無理しなくてもいいよ」と声をかけましたが、返ってきた言葉に息をのみました。
「お母さん、これとそれは話が別。いままで努力したことを無駄にしたくないの。お母さん、いつも言ってるでしょ?」
彼女は堂々と発表会に臨みました。これは我慢をするというような強さではなく、日頃から、任務などの状況を家族で共有し、お互いを理解し合っていたからこそ、「自分で選んで立つ力」が育っていたのだと気づきました。
その姿に、私が教えてきた「強さ」を、逆に教えられた気がしました。離れていても支え合える信頼関係がそこにあったのです。
人生の基地とは、支え合うなかで育つものです。それは「信じ合える関係」によって機能する拠点です。
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