また、自分の力を示したいがゆえに、先代を超えたがる2代目の人も多いみたいですね。それで皆さん失敗する。実の父だからというのは関係なく、そもそも創業者を超えるなんて絶対に無理なんです。
経営者はある程度の訓練でなれますが、創業者は特殊能力だと思っています。ゼロから10を作るのと10のものを100にするのは、同じ10倍でも意味が全然違います。先代はゼロから作るのが好きで、本人も「自分は大企業の社長はできないが、起業ならいくらでもできる」と言ってました。
逆に私は10を100とか1000にするほうが好き。当社はたまたま僕と先代の得意分野が違っていたからよかったのかもしれません。
--2004年の社長就任後に先代は他界されました。
先代は03年6月に入院し、そのまま05年7月に他界しました。すでに01年からIRと株主総会以外はほとんど僕に権限移譲されていたので、04年の就任時には肩書と責任が変わったくらいでやっていることはほとんど変わりませんでした。たまたまですけど、バトンタッチはスムーズにいったと思います。
以後、結果的には規模も大きくなっていますし、売り上げも利益も順調に推移していますが、先代はとにかく認めない人なので、生きていたらまだまだと言われるでしょうね(笑)。
僕も満足していません。経営者はすべてのことにおいて満足していはいけないと思っています。
--どのようなことにいちばん満足していないのでしょうか。
上場企業なのでやはり、株価。