「鬼滅の刃」「国宝」…《25年の映画興行》が"超盛り上がった"ワケ 実は「新たな動き」も生まれていた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
『ズートピア2』
『ズートピア2』(写真:(C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.)

今年の映画興行が盛り上がったワケ

冒頭の通り、直近の最大の注目点は、25年の年間興収が歴代最高の19年の2611.8億円を超えるかどうかだ。

公式数値は、毎年恒例の映連による1月下旬〜2月上旬の会見で発表されるが、1〜11月までの興収は2019年を上回っているようだ。もちろん12月の興行次第だが、歴代記録更新の可能性は高いと言えるだろう。

胡蝶しのぶ
蟲柱・胡蝶しのぶ(写真:(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable)

今年は、近年稀に見るほど映画の話題で盛り上がった1年だった。その背景には、映画館ブームを生み出した『国宝』と、異例の盛り上がりとなった『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が、社会現象となるムーブメントを巻き起こしたことがある。

映画興行は作品次第であり、ヒットには時勢や運も必要。歴代記録を塗り替えるほどのヒットは10年に一度出るか出ないか。それが奇跡的に、同じ年のなかで2本生まれたことで、世の中の関心を大いに集めた。

もちろんその裏には、『国宝』のような邦画製作手法への挑戦や、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のように製作委員会を設けず単独出資によるアニメ製作に挑んだ、新たな動きもある。

こうした要素が重なり合って、相乗効果的に興行を盛り上げていった。

従来の製作形態に縛られない作品が生まれ、大ヒットした25年は、映画業界が次の時代に向かう起点の年になるかもしれない。

そこから映画業界の未来の発展につなげるためには、今年のようなヒットを継続して生み出していかなければならない。それは簡単なことではない。『国宝』と同じことをやっても結果は得られないだろう。模倣ではなく、それを元にする新たな企画が次のヒットを生み出す。

来年もこの流れが続くことが期待される。しかし、ヒットはそのときの時勢や運によるところも大きい。必ずしも結果はすぐには出ないかもしれないが、今年の映画業界に起きたことを進化させていけば、今年のような1年は遠からず再び訪れるはずだ。

まずは26年に注目したい。

武井 保之 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たけい・やすゆき / Yasuyuki Takei

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事