「鬼滅の刃」「国宝」…《25年の映画興行》が"超盛り上がった"ワケ 実は「新たな動き」も生まれていた
この時期は、洋画の大作も続いた。3月公開の『ウィキッド ふたりの魔女』(35.4億円)、4月公開の『マインクラフト/ザ・ムービー』(39.3億円)が、洋画不況と言われるなかで、35億円を超える大ヒットを記録した。
人気ブロードウェイ・ミュージカルを2部作で映画化し、その前編となる前者は、ファンタジックな世界観とキャラクターのビジュアル性が注目された。女性のハリウッドスターが久しく生まれていないなか、グリンダ役のアリアナ・グランデがその筆頭として今作で注目されたことも、洋画シーンの大きなポジティブ要素になる。後編『ウィキッド 永遠の約束』が来年3月に公開されるが、こちらがどこまでのヒットになるか注目される。
後者の『マインクラフト/ザ・ムービー』は、世界的に圧倒的な人気を誇る大ヒットゲームの実写化となり、製作発表時から大きな話題になっていた。3Dブロックで構成されるゲームの世界観を再現した、ハリウッド大作らしいアクションアドベンチャー・ムービーとなり、ゲームファンに限らず、幅広い世代を取り込むヒットになった。
そして、5月に公開されたのが、映画業界が大きな期待をかけるトム・クルーズの最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(52.7億円)。1996年に第1作が公開された大ヒットスパイアクションシリーズの第8作となり、2部作として製作された前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(54.3億円/23年)の後編になる。
いつも話題になるのは、リアルにこだわるトム・クルーズが代役を立てずに臨む、危険なアクションシーン。すでにファンとの毎作のお約束になっている。そんな観客との厚い信頼関係で結ばれた本シリーズは、約30年にわたって人気を博し、今回の2部作は10年代後半のシリーズ前2作を上回るヒットになった。
邦画実写の“新たな時代”への起点になる『国宝』
今年最大の話題作の1作であり、記録的ヒットとなった『国宝』が公開されたのが6月6日だ。公開初週こそパッとしない出足だったが、その後じわじわと口コミで動員を増やし、日を追うごとに右肩上がりで興収を伸ばす。その勢いは、夏休み時期に入っても落ちることなく、話題は膨らみ続け、異例とも言える興行がいつしか社会現象的なムーブメントにつながった。
歌舞伎を題材にした約3時間の超大作は、公開から172日で邦画実写歴代興収1位に輝き、22年ぶりに記録を塗り替えた。現在も興行は続いており、記録を伸ばし続けている。現在「第98回アカデミー賞」の国際長編映画、メイクアップ&ヘアスタイリングの2部門で最終候補に残っているが、その結果によってはさらに興収を伸ばすだろう。

















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