26年の日本株は「TOPIX」が「日経平均」よりも優位な相場へ、年間上昇率は「25年末比30%超」を期待

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縮小

さらに、大きな支援材料もある。10日に発表されたFRB(連邦準備制度理事会)による短期国債の購入決定だ(12日開始、当初は月間約400億ドルを買い入れる)。これはFRBがQT(量的引き締め)を終了し「資産再拡大」に転じたことを意味するからだ。「金融市場の安定と流動性確保のため」としているが、政策スタンスとしては明確に「縮小から拡大」への変更だ。

また、世界の産業には、半導体やソフトウェアだけでなく、機械・ロボット・物流・医療機器など「フィジカルな現場」にAIが浸透し、AIは目に見える形でわれわれの日常生活を変えて来る。これからAI関連銘柄が大きく下がるとは思えない。

さらに、FRBが利下げし、日銀が利上げしたにもかかわらず、ドル円相場は1ドル=150円台で安定している。日本の10年債利回りが2%台に乗っても、株式市場はインフレ時代の当然の姿として許容している。

やはり26年は「インフレ相場の集大成」になる

最後に面白いエピソードを1つ。私が業界に入った1970年には株式市場は、土曜半日立ち合いだったので、1カ月の株価の参考チャートとしては、25日移動平均線が異論もなく第1番に使われていた。

しかし、1983年に第2土曜日が、1986年には第3土曜日も休日となり、1989年2月には完全週休2日制に移行という日本の労働経済のエポックとなったとき、「東証も休場になるので、1カ月の取引日は4日減るから、これからは25日移動平均線ではなく、(4週間をメドとした」20日移動平均線にすべきだ」となった。

こうして、証券会社のチャート第1番も20日移動平均にすべて移行した。しかし現在、何事もなかったように25日移動平均線が使われている。結局、投資家の意識は、使いやすい25日移動平均線にいつの間にか戻ったのだ。

もちろん、TOPIX改革は「意識」ではなく「構造改革」なので、このエピソードのようになるとは思えないが、今から1年後に投資家やコメンテーターが2026年大納会を語るとき、どれだけTOPIXを1番で表現するようになっているのか、若干軽率だが大いに興味がある。とにかく26年は「インフレ相場の集大成」という、筆者の今までの見方は変わらない。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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