ビニール袋、新聞紙、チラシ、傘、そして食品関係のゴミ。部屋に上がるには、この山を一段乗り越えなければならない。その先へ目を向けると、廊下のゴミはさらに高さを増し、腰のあたりまで積み上がっている。その上に立つと、天井に頭が届いてしまう。
間取りは、単身者が住むには広い4LDK。玄関の右手にある洋室を覗くと、そこにはピアノと、解体されたベッドがある。しかし、それらは腰の高さまで積み上がったコーラのペットボトルや新聞紙などのゴミに沈んでいる。
一歩足を踏み出すたびに、足元のペットボトルがガラガラと崩れ落ちる音を立てる。どこかに手をついてバランスを取らなければ、まともに歩くことすらできない。
「いつも過ごされていた奥の部屋に一緒に行ってもいいですか?」
そう尋ねると、男性は困ったように首を横に振った。
「ゴミで塞がっていて簡単に入れないんですよ。手前の部屋にいったん荷物をどかして、小さい隙間を通り抜けてなんとか向こうの部屋に入っているんです」
使用不能になった「トイレの惨状」
さらに衝撃的だったのは、トイレの惨状だ。足の踏み場は完全になくなり、床面はゴミによって埋没している。
壁には尋常ではない量のティッシュ箱が積み重ねられている。ラベルが剥がされたり踏みつけられたりした空ペットボトルが無造作に散乱し、その隙間を埋めるようにトイレットペーパーの芯やクシャクシャになったレジ袋、薬や化粧品の空き箱、紙くずなども捨てられていた。
便器の蓋は閉じられていたが、その表面には茶色いシミや埃がこびりつき、長期間掃除をしていないことは明らかだった。
便器のすぐ手前、側面までゴミが迫り、便座に座るために足を置くスペースすら確保されていない。タンクの右側のわずかな隙間にも、空のペットボトルが押し込まれるように詰まっている。



















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