ガラパゴスゾウガメを「弁当」扱い、庭の昆虫を食べる 実は悪食王の《科学者ダーウィン》…因果応報な死の原因とは

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つまりイギリスにはじめてお目見えしたレッサー・レアの標本は、ぶっちゃけシチューをリサイクルし再構築したものだったのだ。

ガラパゴスのゾウガメは船乗りの「お弁当」

ゾウガメも忘れちゃいけない。巨大な爬虫類ゾウガメは、ダーウィンが進化論を発展させる上で重要な役割を果たし、今ではダーウィンその人とわかちがたく結びついている。だがダーウィンが出会った当時のゾウガメは進化論のマスコットというより、歩く大きな弁当だった。

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ダーウィンが進化論の正しさを確信する決め手となったのがゾウガメだったのは、ある意味皮肉だ。なにしろゾウガメほど、人間に都合のいい「知的設計者」の存在を証明できそうな生き物もいない。ゾウガメは美味しい。船の上でも元気に暮らせるから肉が腐る心配はないし、飲み物までついてくる。「(ガラパゴス諸島の)住民は、ゾウガメの膀胱が一杯ならば、その中身を飲む」と、ダーウィンは記録した。「私の目の前で殺されたゾウガメの場合、その液体は無色透明で、やや苦みがあった」。

カメにとっては悲劇、科学の発展にとっては幸運なことに、ダーウィンの想像力を刺激するのにカメは生きている必要がなかった。1859年、ダーウィンは『種の起源』を出版し、押しも押されもしないスーパースターとなった。

1882年にダーウィンは死んだ。その命を奪ったものはなんだったのか。

当時の医者はダーウィンの死因を心臓の血栓としたが、最近の研究者はダーウィンが知らず知らずシャーガス病に罹患していたのではないかと指摘する。

シャーガス病とはキッシング・バグことカメムシの一種サシガメが媒介する伝染病で、ダーウィンはビーグル号に乗っていた1835年に、アルゼンチンでこの虫に接触した。治療をせずに放っておくと、シャーガス病は無症状のまま潜伏し、何十年も経っていきなり心不全を引き起こす。心不全に見舞われたダーウィンは、妻と親族に見守られて最後の日々をすごし、「死ぬのはちっともこわくない」などと述べたという。

こうして、進化論の父は死んだ。しかもこれほど完璧な因果応報はなかった。子供のころむしゃむしゃ食べた昆虫に、しっぺ返しを食らったのだから。

ケイティー・スポルディング 数学博士

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Katie Spalding

2018年に博士号を取得。大学在学中にBBCの大学対抗クイズ番組『ユニバーシティ・チャレンジ』に2度出演し、「クロスドレッサーだった歴史上の人物」「新世界のサル」のカテゴリーで健闘した。
現在は科学専門サイトIFLScienceで科学系のニュースをユーモラスに紹介しつつ、ハフポストや数学教育専門誌Maths in Schoolsにも寄稿している。

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雨海 弘美 翻訳者

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あまがい ひろみ / Hiromi Amagai

訳書に、ミシェル・ザウナー『Hマートで泣きながら』(集英社クリエイティブ)、『トム・ウェイツが語るトム・ウェイツ アルバム別インタビュー集成』(共訳、うから)、クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』(角川文庫)などがある。東京在住。

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