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〈今週のもう1冊〉『僕には鳥の言葉がわかる』書評/シジュウカラが持つ言語の世界、山荘で痩せこけ研究した日々

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『僕には鳥の言葉がわかる』鈴木俊貴 著
僕には鳥の言葉がわかる(鈴木俊貴 著/小学館/1870円/264ページ)
[著者プロフィル]鈴木俊貴(すずき・としたか)/東京大学准教授。動物言語学者。日本学術振興会特別研究員SPD、京都大学白眉センター特定助教などを経て現職。1983年生まれ。シジュウカラに言語能力を発見し、動物たちの言葉を解き明かす新しい学問「動物言語学」を創始。

大学3年生の冬の日、野鳥を研究していた著者は国内有数の探鳥地・軽井沢にいた。そこで運命的な場面に遭遇する。

「ディーディーディー……」とコガラが鳴くのを聞いた。甘えるような声だったという。するとシジュウカラやヤマガラ、ゴジュウカラなどほかの種も次々と集まってくる。辺りには、人間がまいたと思(おぼ)しきヒマワリの種があった。森の中の何気ない風景だ。

しかし、食べ物の枯渇する厳しい季節に、同じコガラの仲間ならともかく、なぜほかの鳥まで呼ぶのか。その後、1羽の鳴き声によって鳥たちが一斉に茂みへと逃げたのはなぜか。疑問に思った著者はヒマワリの種を回収し、別の場所にまいてみた。今度はシジュウカラが鳴き、別の種類の鳥が集まってきた。

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