「マザーツリー」は森林や林業の常識を一変させる 『マザーツリー』スザンヌ・シマード氏に聞く

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『マザーツリー』著者のスザンヌ・シマード氏
[著者プロフィル]Suzanne Simard(スザンヌ・シマード)/カナダ・ブリティッシュコロンビア大学教授。カナダの森林生態学者。森林伐採に代々従事してきた家庭で育つ。大学卒業後、森林局の造林研究員として勤務した後、ブリティッシュコロンビア大学教授に就任。米『タイム』誌が2024年の「世界で最も影響力のある100人」に選出。(撮影:今井康一)
世界的ベストセラー『マザーツリー』。カナダ人の著者が本書執筆以前から提示してきた自然についての考えは、2009年公開の映画『アバター』のモチーフにもなった。来日した著者に、森林生態系の危機的状況と、政策やビジネスの転換に必要な科学的知のあり方について聞いた。
マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険
『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険』(スザンヌ・シマード著/三木直子 訳/ダイヤモンド社/2420円/573ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──本書は森林や林業に関する常識を一変させる大作です。

森の木々が、地中の根や土壌の菌根ネットワークを通じて助け合いの関係にあることが、私たちの研究を通じてわかってきました。

水分や、窒素、リンなどの栄養素を通じた共存、相互扶助の中心にあるのが、マザーツリーと呼ばれる樹齢の長い大木です。

マザーツリーの根にはびっしりと菌類が広がっており、そうした菌類が栄養素を運ぶ役割を担い、木々を健康に保っています。

──これまでの林業では、単一の樹種を整然と植林するほうが生産性が高いとされてきました。本書はそうした常識も覆しました。

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