世界金融危機を半年後に控えた2008年3月。経営不安が伝わっていた米投資銀行大手、リーマン・ブラザーズの日本法人が371億円を詐取されたことが露見した。リーマンから出資を求められていた著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、事件の報道を機に同社に見切りをつけた。
金融市場に衝撃を与えた大型詐欺事件の主犯として懲役15年に処された人物が、その内実を赤裸々に明かした。裏金、愛人バンク、乱交パーティー、地下銀行……金に狂った男たちがバブルの奔流にのみ込まれる過程が、パワーワード満載でつづられる。
──もともとは、新卒で山一証券に入社したサラリーマンでした。1997年に山一が自主廃業したときは、現職蔵相だった故・三塚博氏の裏金を運用していたとか。
最初は客の正体がつかめない休眠口座だった。社外を含む証券マン仲間の調査のおかげで本尊が三塚氏だとわかり、秘書に直談判して運用の一任を取り付けた。
まさか山一が潰れるなどとは思わなかったので、その直前には三塚氏の資金で山一株を買いまくった。65年に田中角栄蔵相(当時)が山一を救済した日銀特融がまたあると信じていたから。結果はご承知のとおりで、預かっていた7億円はパーになった。でも表沙汰にできない資金だったからか、何も責任は問われなかった。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら