──2006年から18年にわたって貧困の現場を歩いています。
貧困問題に関わった理由の1つは、私自身が1975年生まれの就職氷河期世代であること。そして19歳から24歳まで(94〜99年)フリーターを経験したことだ。
当時は、どんなに働いても月十数万円の給料しかもらえず、給料日前に電気やガスが止まることもしばしば。好きでフリーターをやっているわけではないのに、「怠けている」「いつまでもフラフラしている」とさげすまれる。景気がよくなれば正規雇用される、暮らしは楽になると信じていたが、ついにそんな時は来なかった。
なんのことはない。正規を非正規に置き換えて人件費負担を軽くするのは、当時、バブル崩壊にあえいでいた企業がとった明確な戦略だったことが後にわかった。
07年、『生きさせろ! 難民化する若者たち』という本を書いた。ネットカフェ難民が出現している現実や、「ネット心中」する若年たちの生きづらさに社会がようやく注目するようになり、私たち就職氷河期世代は「ロストジェネレーション」と名付けられた。
注目が集まったのはよかったが、当事者の多くは救済されぬまま、50代に突入している。
私自身、49歳の独り身で、フリーランスの文筆業だ。
──それで「死なないノウハウ」を執筆しようと。
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