異彩を放つ台湾政治本である。民主化の過程で、台湾の政治社会には多くの米国流が持ち込まれた。米国政治を専門とし、米議会議員スタッフや選対スタッフ、日本メディア記者の経験を有す著者は、とくにメディアと選挙について、台湾が米国から受けた影響と台湾独自の発展を論じる。
──台湾政治の特徴は何ですか。
選挙デモクラシーが駆動する条件が整っていることだ。
主に4つ。1つ目は統治能力のある交換可能な2大政党の存在。2つ目はジャーナリズムの権力批判が成熟していることだ。民主化とテレビ全盛期が重なり、米国式の放送ジャーナリズムが導入された。視聴者の電話参加など政治討論が花開き、独自に発展した。
3つ目に活発な政治参加がある。「社会運動が政治変革を起こした」という成功体験がないと人々は政治に幻滅するが、台湾では2014年のひまわり運動など数々の運動が政治を動かしてきた。
4つ目は移民社会の海外ネットワークだ。二重国籍の在米台湾人は米国人ながら台湾の党派性を維持する。私はかつて従事したニューヨークでの選挙戦でそれを体感した。このような特殊性が外からも民主化を活性化し、「外の目線」を台湾政治に持ち込んでいる。
──米国政治が専門ですが、なぜ台湾政治を研究しているのですか。
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