米国政治文化が影響も独自に発展した台湾の民主 『台湾のデモクラシー』渡辺将人氏に聞く

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『台湾のデモクラシー』著者の渡辺将人氏
[著者プロフィル]渡辺将人(わたなべ・まさひと)/政治学者。シカゴ大修士(国際関係論)。早稲田大博士(政治学)。米下院議員事務所・上院選本部、政治記者などを経て北海道大学大学院准教授。台湾国立政治大学、ハーバード大学研究員を歴任。現在、慶応大学准教授。北大公共政策学研究センター研究員兼任。著訳書多数。
異彩を放つ台湾政治本である。民主化の過程で、台湾の政治社会には多くの米国流が持ち込まれた。米国政治を専門とし、米議会議員スタッフや選対スタッフ、日本メディア記者の経験を有す著者は、とくにメディアと選挙について、台湾が米国から受けた影響と台湾独自の発展を論じる。
台湾のデモクラシー-メディア、選挙、アメリカ (中公新書 2803)
『台湾のデモクラシー-メディア、選挙、アメリカ (中公新書 2803)』(渡辺将人 著/中公新書/1188円/336ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──台湾政治の特徴は何ですか。

選挙デモクラシーが駆動する条件が整っていることだ。

主に4つ。1つ目は統治能力のある交換可能な2大政党の存在。2つ目はジャーナリズムの権力批判が成熟していることだ。民主化とテレビ全盛期が重なり、米国式の放送ジャーナリズムが導入された。視聴者の電話参加など政治討論が花開き、独自に発展した。

3つ目に活発な政治参加がある。「社会運動が政治変革を起こした」という成功体験がないと人々は政治に幻滅するが、台湾では2014年のひまわり運動など数々の運動が政治を動かしてきた。

4つ目は移民社会の海外ネットワークだ。二重国籍の在米台湾人は米国人ながら台湾の党派性を維持する。私はかつて従事したニューヨークでの選挙戦でそれを体感した。このような特殊性が外からも民主化を活性化し、「外の目線」を台湾政治に持ち込んでいる。

──米国政治が専門ですが、なぜ台湾政治を研究しているのですか。

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