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YouTube2.7億回再生の名曲誕生秘話 「スキャットマン」悩みだった吃音症を武器に大成

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  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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しかし、ジョンは自分の歌が評価されるほど「歌ならどもらないが、インタビューを受けたら、必ずどもるだろう。みじめな姿をさらしたくない」と、怯えるようになった。ステージ以外で人前に出ることを恐れたのだ。

「苦手なこと」を前面に出して大ヒットを飛ばす

そんなふうに心配するジョンに対して、妻は「いっそのこと曲の歌詞で、吃音について話してみたらどう?」と思い切った提案を行った。

その言葉に、ジョンは腹をくくる。プロデューサーと制作したのが「スキャットマン」だ。意味のない音をメロディに合わせて歌うスキャットという斬新な方法は、「吃音症」から生み出された。歌詞には、こんな趣旨のメッセージを打ち出している。

「歌っているときは決してどもらない。どもりもスキャットも同じこと。私こそがスキャットマンだ」

最初こそ売り上げが伸び悩んだが、曲が知られるようになると、多くの国で1位を獲得。世界中で600万枚以上を売り上げた。デビューアルバム「スキャットマンズ ワールド」は日本でも250万枚を超す大ヒットを記録している。

53歳にして世界的スターとなったジョンはスキャットランド財団を設立して、吃音の研究と啓発活動のサポートを行った。

吃音という障がいに苦しみ、薬物依存に陥り、何度も挫折を味わいながらも、世界的成功を収めたスキャットマン・ジョン。自身の成功についてこう語った。

「スキャットソングが僕の人生を変えた。ハンデキャップをポジティブなものに変えてくれたんだ」

現在でも、ユーチューブでは2.7億回以上、スポティファイでは3億回以上再生されるなど、ジョンの楽曲は世界中で愛され続けている。

【下積みから考える】
コンプレックスを抱えたまま生きるにはどうしたらよいだろうか? 同じ悩みを持つ人と助け合うにはどうしたらよいだろうか?
(イラスト:伊達努)
下積み図鑑 すごい人は無名のとき何をしていたのか?』(真山知幸著/笠間書院)では、スキャットマンのように下積み時代に「支えられながら進んだ」人物のほかに「好きや得意を伸ばす」「いろいろ興味を持つ」「海外で道をひらく」「働きながら目指す」「人から求められる」など、人生の初期におけるキャリア形成のタイプ別に、数多くの人物を取り上げています。
日々努力するにあたって重要なポイントを「下積みから考える」にまとめました。今、まさに壁にぶつかっているという人はもちろん、まだ人生で挑戦すべきことが見つかっていない、という人にも、ぜひ参考にしてもらえればと思います。

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