「私自身」が宇宙の中心にいる? 138億年の宇宙史から「人間がここに存在する意味」を見ていくと驚愕の事実が判明
ルメートルとホーキングのエピソードを引き合いに出したことについて著者は、科学も宗教も問題だと批判したいためではないと述べている。ただ、人間という存在の一般的な特性について言いたいだけなのだと。
宇宙を理解しようとする本当の理由
それにしても私たちはなぜ、無限な宇宙を自分の内面に抱え、その意味を理解しようとするのだろう?
しかもその答えは、「みんな暇だからでしょ」というように単純なものから、「それは、宇宙の自己反省の過程だ」というようなものまで多岐にわたる。
まるで鏡に映る自分を見るように、これは本当の意味の「思考」の出発地点で、最小限の条件になる。
思考をするということは、自分を客観的な対象として見つめることができるという意味だ。(36ページより)
宇宙はただ存在しているだけであり、自らの存在を認識することができない。ただ138億年間にわたって存在し、深い沈黙を貫いてきたのだ。
しかし、あるとき変化が起きた。それは宇宙のなかに「宇宙について思考する存在」、すなわち人間が生まれたことである。
僕たちが宇宙の誕生と終末、膨張と収縮を想像する理由、また自分の内面に無限の宇宙を抱え、その意味を理解しようとする本当の理由は、もしかしたらすごく「宇宙的」なものなのかもしれない。(38ページより)
簡単な答えか、難しい答えか。
もちろん、どちらを選択するかは人それぞれだ。だが本書において著者は、難しいほうの答えを探っていこうとしている。自我の存在の内部から、宇宙的な意味を見つけようとする答えだ。
ちなみに最近の宇宙論でも、後者の答えを提示している人がおり、それを「強い人間原理」というそうだ。


















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