｢私自身｣が宇宙の中心にいる？　138億年の宇宙史から｢人間がここに存在する意味｣を見ていくと驚愕の事実が判明

そこで、全体は個々人にじっくりと読んでいただくとして、ここでは冒頭1章「宇宙 世界の誕生 “ビッグバン”っていったい何だったんだ？」のなかから「宇宙の誕生」についての解説を確認してみたい。

「創世記」とビッグバン

『旧約』聖書の「創世記」には宇宙の誕生についての記述があり、その宗教的な説明を多くの人が信じているようだ。なにしろ『旧約』聖書に基づくアブラハムの宗教であるキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の信者は、世界人口の54%にのぼるのだから。

しかしその一方で、そうした宗教的説明に抵抗を感じる人も当然いる。とくに科学を学んできた人にとっては、ビッグバン理論（圧縮されていた宇宙が大爆発によって誕生し、膨張を続けているという概念）のほうが説得力を持つかもしれない。

この理論は科学者のみならず一般の人にも受け入れられており、宇宙の誕生に関する科学的な説明として認められてはいる。しかし、はじめて登場したときの反応は、いまとはかなり違っていたようだ。

ビッグバン理論はどこか「創世記」を連想させもするため、大衆にもすんなり受け入れられた。宗教には「超越的な存在としての神さまは、現実世界では発見されない」という致命的な不安要素があるが、ビッグバン理論はその不安を消してくれたわけである。

かくして、神さまが現実に存在しなくてはならない理由は消えた。「神さまはビッグバン以前に存在していて、その爆発を起こした主体だ」と説明すればいいからだ。

だが当然ながら、キリスト教がビッグバン理論を宗教的に解釈し、すんなり受け入れる姿に不満を抱く人もいた。その1人としてここで紹介されているのが、物理学者のスティーヴン・ホーキングだ。