農は甦る 吉田忠則著
日本農業を作り変えるイノベーターが各地で出現し、確たる地位を占め始めたようだ。その方向にドライブをかける共通キーワードは、複合化、グループ化、安全・安心、流通革新の四つ。日本の農業は、食糧管理法が廃止されて17年にして、ようやく反転上昇へのステージにたどり着いたと、本書は教える。
登場するイノベーターの手掛ける作物は一様ではない。コメに加えて、その裏作のタマネギ、トウモロコシ、ケール、ジャガイモ、サツマイモ、さらに露地野菜、果樹、再挑戦のトマト、転作作物の麦・大豆、養豚……。多くが都市消費者向け。規模は、1300枚の田を抱える大規模経営から、数戸の集落営農組合まである。時代が求める農を探す実験場のような姿だ。
中でも、スーパーや外食産業などの川下企業との直取引が農業再生のカギを握っているようだ。情報や品質で大いに鍛えられる。農業の現場変化が見事に伝わってくるルポといえる。
日本経済新聞出版社 1890円
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