
ブリキ看板が掲げられている朝日堂書店
朝日堂書店は、森田浩一(こういち)の自宅の斜向かいにあった。
いわゆる町の本屋さんで、昭和から営業している老舗だ。軒下には店名が記された、やや錆びたブリキ看板が掲げられている。
売場は二十坪ほどで、店頭に雑誌コーナーがあり、左手には漫画の棚や文具コーナーがあり、右手の棚にはずらりと小説や歴史書などが並んでいる。
浩一は中学一年ゆえに、小遣いで買える本は限られていた。でも本を買わずとも、書店で棚の背表紙を眺めているだけで胸が弾んだ。
心惹かれるタイトルを見つけると、その本を手に取って裏表紙のあらすじを読む。あらすじが魅力的だったなら、最初の数ページを読む。続きを読みたくて我慢できなくなったら、レジへ持っていく。



















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