スーパーのシュークリーム《モンテール》"ふてぶてしいピンク顔"の金太郎飴つくる戦後の町工場が【年商318億円】の大企業に成長した裏側

多数の製造ラインを案内してもらったなかで、特に印象に残ったのがどら焼きの製造工程だ。 生地の広がり方や焼成温度、ふんわりした食感を損なわずに形状を保つための工夫など、 一見シンプルな製品の裏側には、おいしさと生産効率の両立を追求した細やかな技術が詰まっている。

つくば工場でのどら焼きの製造工程（筆者撮影）

「焼成には熱伝導率の高い銅板を用いており、表面温度を均一に保つことで焼きムラを抑え、一定の厚さと形に仕上がるよう設計しています。また、製品ごとに求められる仕上がりに合わせて、工程に適した機械の動きや構造を細かく最適化しており、必要に応じて自社で装置の改良も行っています」

全体として多くの工程が自動化されている一方で、あえて人の手が残されている場面もある。たとえばロールケーキは、ふんわりとした仕上がりにするために1本ずつ手巻きされている。

丁寧に手巻きされているロールケーキ（筆者撮影）

クレープも、柔らかく薄い生地のため、最終工程は人の手で丁寧に折りたたまれていた。こうした機械と人の最適な役割分担は、効率よりも品質を優先してきた同社のものづくりの姿勢にも通じる。

創業70周年を迎えた

2024年に創業70周年を迎えたモンテールは、新たなコーポレートメッセージとして「しあわせにまじめ」を掲げている。おやつの時間のワクワクを通じて、世界を笑顔で満たし続けたいという、会社のミッションや、ありたい姿、大切にしたい価値観などを、改めて言語化したものだ。