スーパーのシュークリーム《モンテール》"ふてぶてしいピンク顔"の金太郎飴つくる戦後の町工場が【年商318億円】の大企業に成長した裏側

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現在、モンテールは国内に3カ所の自社工場を構える。その中で今回は特別に、普段は非公開のつくば工場に潜入させていただいた。

1997年に稼働を開始したつくば工場は、第1~第3工場で構成され、総敷地面積は約1万4千平方メートルに及ぶ。モンテールの主力製品であるシュークリームやエクレアをはじめとした定番商品のほか、年間100種類を超える新商品の洋生菓子を生産する同社最大規模の生産拠点だ。

「モンテールでは新鮮な素材にこだわり、酪農や農業が盛んな環境の良い地域に工場を構えています。つくば工場でも毎朝生乳を仕入れ、卵も近隣の新鮮なものを中心に使用しています。こうした素材を生かし、商品ごとに数種類のカスタードを炊き上げ、ホイップクリームや小麦粉もメーカーと共同開発するなど、おいしさを最優先に手間を惜しまないものづくりを行っています」

仕入れた生乳は自社工場内のミルクプラントで低温殺菌し、生乳本来の風味や甘みを生かした牛乳へと仕上げる。今回、その低温殺菌牛乳を試飲させていただいたが、口当たりはさっぱりとしながら、風味は驚くほど濃厚だった。なお、この低温殺菌牛乳を使ったソフトクリームが、八潮・美濃加茂・総社の各直売店限定で提供されている。

美濃加茂工場ほかにて販売されている低温殺菌牛乳のソフトクリーム(筆者撮影)
美濃加茂工場ほかにて販売されている低温殺菌牛乳のソフトクリーム(筆者撮影)

また、チルドスイーツという製品特性上、衛生管理にも極めて厳格な目標基準を設けている。89年には自社独自の衛生基準を策定し、翌年にはHACCPシステムを導入した。一般生菌数は「1g当たり300個以下(限りなく無菌に近い)」を目標とし、仕上げ工程はHepaフィルターで浄化した空気を用いたクリーンルームで行われる。

「当社では2021年に、日本発祥の食品安全マネジメントシステムであり、GFSI(世界食品安全イニシアチブ)に承認された国際的な食品安全規格であるJFS-C規格の認証を全工場で取得しました。

さらに衛生管理手法やHACCPに基づいた管理を有効活用し、改善提案を積極的に行う等の取り組みについて第三者審査を受けることで、より高いレベルでの衛生管理体制を維持しています。お客様に安心して召し上がっていただける品質を、継続的に向上させていくことが目的です」

特に印象に残った商品は…

実際に訪問した際にも、エリア移動ごとのローラー掛けや、手袋ごと次亜塩素酸に浸す工程が徹底されていた。食品メーカーで勤務経験のある筆者から見ても、ここまで細かな手順が運用されている現場は多くない。こうした徹底した衛生管理を行うことで、安心安全はもちろん、添加物を極力使わないスイーツづくりを実現している。

次ページ特に印象に残ったのがどら焼き
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