不意打ちのウクライナ和平案で何が起きているのか/ロシア寄りのアメリカ調停案を懸命に押し返すウクライナ/トランプはまた二転三転か

✎ 1〜 ✎ 200 ✎ 201 ✎ 202 ✎ 203
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
プーチン・ロシア大統領(左)寄りの和平案を突きつけたトランプ米大統領(中)。合意に向け茨の道を歩むゼレンスキー・ウクライナ大統領(右)(写真:Bloomberg)

「トランプ政権が戦争終結のための新たな計画案を作成すべく、ロシアと秘密交渉を行っている」。2025年11月半ばすぎ、アメリカの有力ウェブニュースサイトが報じた。

この突然のスクープ報道は国際的に大きな混乱と疑心暗鬼を引き起こした。トランプ政権からウクライナや欧州主要国には事前の連絡がなく、報道で不意打ちを食らったからだ。

ロシアの要求に沿ったトランプの和平案

キーウと英独仏がさらに驚いたのは、その計画案の内容だ。ロシアの要求を書き写したかのようなものだったからだ。この当初案を点検すると、ウクライナ紛争の終結に向け米ロが秘めている大国主義的本音がちりばめられていた。その本音とは何か。また今後この交渉結果が国際社会にどのような影響を与えるのだろうか。

28項目が簡素に箇条書きされた米和平案を巡っては、ジュネーブで11月23日に開かれたアメリカ高官との協議でウクライナが押し返し、大幅に修正することにとりあえず成功した。ウクライナが受け入れを拒んだ内容は、相当部分削除され、修正合意案は19項目まで絞られたと言われる。

本稿執筆時点で交渉は継続しており、この19項目の内容は発表されていない。このため、当初案の中でトランプ政権とウクライナおよび欧州との間で、現時点でも対立していると思われる争点部分とその問題点を点検してみよう。

次ページトランプはウクライナに領土割譲を迫っている
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事