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政治・経済・投資 #ウクライナ侵攻、危機の本質

不意打ちのウクライナ和平案で何が起きているのか/ロシア寄りのアメリカ調停案を懸命に押し返すウクライナ/トランプはまた二転三転か

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
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  • ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)不加盟

ウクライナは憲法を改正してNATOに加盟しないことを法制化する。NATO側もウクライナの加盟を認めない条項をつくる。ウクライナにNATOは部隊を配置しない。

問題点:これは明らかに、ウクライナ加盟によって、NATOがウクライナ防衛の義務を負う事態を回避したいロシアの意向を反映したものだ。戦争中であるウクライナはまだNATOから加盟要件を満たしていないとして加盟を認められていない。しかし、NATO加盟を自国の最大の安全保障策と考えるウクライナに対し、NATOは24年の首脳会議で、ウクライナが加盟に向け「不可逆な道を歩んでいる」と規定。将来的な加盟の可能性は残っている。

ウクライナの国民主権を否定するのか

「不加盟」規定はNATO加盟を志向するウクライナの主権国家としての権利を否定するものだ。またウクライナ加盟の是非はNATOが独自に決める問題で、ロシアには本来発言権はない。

またNATO部隊をウクライナに配置しないとの規定も、停戦実現後にウクライナへの部隊の展開を目指す欧州有志国連合の計画を、ロシアが阻止しようとしていることを意味する。非加盟国であるロシアにNATO拡大問題を巡り事実上の拒否権を与えれば、他の旧ソ連共和国の加盟問題が浮上した場合でも介入できる余地を与える。

さらに、侵攻を受け、従来の中立政策を放棄してNATOに急遽加盟したフィンランド、スウェーデンに対しても、ロシアへの脅威として対抗姿勢を一層強める可能性もある。

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【プーチンの戦争犯罪は免責されるのか】

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