不意討ちの「停戦交渉」ウクライナは和戦両様の構え トランプ政権主導の交渉、ロシア寄りの発言も

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2025年2月14日、ドイツのミュンヘンで開催されたミュンヘン安全保障会議で話すウクライナのゼレンスキー大統領(写真・2025 Bloomberg Finance LP)

ロシアによるウクライナ侵攻開始から丸3年を目前に控えた2025年2月半ば、アメリカのトランプ大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、戦闘終結交渉を開始すると発表した。

大統領就任前から停戦調停に意欲を示していたトランプ氏だが、今回各国に衝撃を与えたのは、ウクライナが求める北大西洋条約機構(NATO)加盟に否定的見方を示すなど、ロシア寄りとも言える発言を一方的に行ったからだ。今後の停戦交渉はどうなるのか。

「トランプ・ショック」

今回の「トランプ・ショック」は、直後にドイツで開かれた国際会議「ミュンヘン安全保障会議」で大きな波紋を広げた。この会議は今後のウクライナ情勢への対応をウクライナ、アメリカ、ヨーロッパの政府高官が一堂に会して話し合う注目の国際会議だったからだ。

「われわれは、わが国が関与していない合意は受け入れない」。ゼレンスキー氏はこう述べて、トランプ氏によるロシアとの今後の頭越しの停戦交渉の可能性に対し、懸念を表明した。ゼレンスキー氏は事前にプーチン氏との電話会談についてトランプ氏から知らされず、不意打ちを食らった形だったのだ。

トランプ氏はその後、今後の停戦交渉にはウクライナも参加すると述べて、「頭越し」批判への火消しを図った。

一方で、ミュンヘン会議に参加したウクライナの代表団には、興味深い動きがあった。トランプ政権の今回の行動に対する批判などの言動がほとんどなかったのだ。

これについて、反プーチン政権を掲げるロシアの独立系テレビ局ドシチの記者は、現地から不思議そうにこう伝えた。「ヨーロッパ各国がアメリカの動きを批判したのに、ウクライナ代表団は予想外に静かだった」と。

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