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不意討ちの「停戦交渉」ウクライナは和戦両様の構え トランプ政権主導の交渉、ロシア寄りの発言も

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
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しかしゼレンスキー政権の内部では、アメリカの反対を受けてNATO加盟の実現は実際には困難であり、NATO加盟に代わる別の安全保障策を米欧に求めるべきとの考えも浮上しつつある。

ゼレンスキー氏はミュンヘン会議の場で、NATO軍と並んで新たに「ヨーロッパ軍」の創設を呼び掛けた。この提案の背景として、ウクライナを含めたヨーロッパの安全保障には、アメリカを中核とするNATOだけでなくヨーロッパ独自の軍事機構が必要との考えがあるとみられる。

またロシアの現在の占領地に関して、トランプ政権が停戦交渉の中でプーチン政権に対し、2014年のクリミア併合前の国境線までのロシア軍の完全撤退を求める可能性は低いが、より小規模な占領地のウクライナへの返還を求める可能性はあるだろう。

「調停作業に何カ月もかけられない」

一方で、ケロッグ氏はミュンヘンで、早急な仲介達成を求める「トランプ時間で動いている」と述べ、日程的に調停作業に何カ月もかけられないとの考えを示している。

ブルームバーグ通信によると、トランプ政権がヨーロッパ側に対し、停戦を4月20日の復活祭(イースター)までに実現したいとの考えを伝えたという。この時間的制約がケロッグ氏とウクライナ側との調整作業にとって障害となる可能性もある。

一方で、プーチン大統領にとっては、今回のトランプ氏の停戦交渉提案は膠着状態に陥ろうとしている戦局を大きく局面転換させる可能性を秘めた、文字通りの僥倖になった。侵攻後続いていたロシアの西側からの外交的孤立を脱却できるからだ。

そればかりか、ロシア寄りの発言を行ったトランプ氏から、NATO加盟拒否などウクライナの西側志向を長期間封じる提案を引き出すことができれば、ロシアにとって、侵攻の主要目的の1つを事実上実現できることを意味する。

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