不意討ちの「停戦交渉」ウクライナは和戦両様の構え トランプ政権主導の交渉、ロシア寄りの発言も

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いずれにしても、トランプ大統領が今後強力にプッシュしたとしても、ロシアとウクライナが双方とも納得できる停戦が期限内にまとまる保証はない。

このシナリオの可能性を承知しているゼレンスキー政権は実際、アメリカの仲介が不調に終わった場合に備えて戦闘を続けるという「和戦両様」の構えだ。

ロシア領内深部への積極攻撃も

この姿勢を象徴したのが2月初めにウクライナ軍のシルスキー総司令官が公表した報告書だ。2025年の軍備強化策として、3万機もの最新型長距離攻撃用ドローンを配備すると言明した。

これは、ウクライナがドローン部隊を中核にしてロシア領に深く入っての攻撃を強化する構えを表明することで、停戦が実現しなかった場合に向けウクライナ軍の士気を維持する狙いといわれている。 

ゼレンスキー政権としては理想的には2025年中に戦争状態の終結を実現し、戦争で疲弊した国民生活と経済の復興を急ぐ構えだが、こうした和戦両様の構えが示すように、ウクライナ情勢はまだ方向性が定まっていない。

吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

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よしだ しげゆき / Shigeyuki Yoshida

1953年、東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。1986年から1年間、サンクトペテルブルク大学に留学。1988~92年まで共同通信モスクワ支局。その後ワシントン支局を経て、1998年から2002年までモスクワ支局長。外信部長、共同通信常務理事などを経て現職。最初のモスクワ勤務でソ連崩壊に立ち会う。ワシントンでは米朝の核交渉を取材。2回目のモスクワではプーチン大統領誕生を取材。この間、「ソ連が計画経済制度を停止」「戦略核削減交渉(START)で米ソが基本合意」「ソ連が大統領制導入へ」「米が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの脱退方針をロシアに表明」などの国際的スクープを書いた。

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