中国の「貧困県」はどこにある? 支援を期待する県の当局者
頑張って貧困県になった
河北省保定市は北京から西南140キロメートルにある。経済水準は、河北省内では唐山、石家荘に次いで3番目である。その保定市の下には三つの貧困県(注:中国では市の下に県がある)がすでにあり、11年に望都県も貧困指定を望んだ。
その望都県は保定市から40キロメートルしか離れていない。通常は市の発展につれ県も豊かになるが、望都県はそうはならなかった。人口26万人のうち、農業従事者が86%を占めている。大した産業はなく、農民はトウガラシ生産などで何とか生計を立てている。農民の平均的な年収は数百元程度(1元=約13円)だ。
望都県が相当に貧しいことは十分理解できたが、貧困県にはなっていない。その原因を県幹部に聞くと、指定のためには他県と競い合わなければならないし、中央の役人に理解してもらう必要があるが、その活動もできなかったからだという。「われわれはあまりにも貧しかったからだ」と県知事は涙を浮かべて話した。関連の資料を準備する力もないのだろうと推察された。
11年、望都県は念願どおり貧困県の指定を受けた。それまでは貧困地域は592という総数の制限があったが、今回はなかったことも幸いした。
貧困県というラベルは地方にとって何としても欲しいもので、いわばパイの取り合い状態である。それさえあれば、国からの資金支援、政策的支援がどんどん入ってくるといわれている。
1月30日、湖南省邵県では「国から貧困地域に指定されたことを歓迎する」と、LED(発光ダイオード)の電光掲示板に表示された。このニュースはたちまち全国に流れ注目を集め、貧困県をめぐる議論に火をつけることとなった。