(第47回)若い地元企業が中国経済を変える

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(第47回)若い地元企業が中国経済を変える

中国での事業展開に関して、いくつかのイルージョンがあると前回述べた。もう一つのイルージョンは、中国企業の実力に対する評価である。「中国企業の技術力や経営力は低い」という思い込みだ。

そして、つぎのように考える。電子機器組み立てのような単純労働集約生産はできても、自動車のように高度の技術や熟練労働が必要なものは、中国企業にはできない。国内企業があっても、やっているのは先進国企業製品のコピー生産だ。だから、中国における自動車事業の競争相手は、フォルクスワーゲンやGMなどの先進国企業だ。

こうしたイメージが持たれるのには、理由がある。つい数年前まで、中国の技術水準では、現代世界で通用する自動車は生産できなかった。中国政府が自動車事業への外資進出に合弁企業しか認めないのは、技術の移転を促したいからだ。

奇瑞汽車や吉利など、民族系自動車メーカーが登場したが、先進国メーカーと見た目がそっくりの車を製造している。外観だけでなく、リバースエンジニアリング(完成品を購入して分解し、そのコピーを生産する方式)が用いられている可能性もある。中国では、「山寨企業」と言われるものがある(「山寨」とは、山賊の意味)。これは、コピー製品を製造する企業の通称だ。携帯電話、医薬品、化粧品、映画などでコピー製品が大量に出回っている。自動車でも、民族系メーカーは、山寨と言われてもしかたない状態なのだ。

しかし、前回述べたように、最近では、そうしたメーカーの躍進が著しい。中国国内で販売を伸ばすだけでなく、海外にも進出する勢いだ。そして、中国に進出した外資企業を激しい価格競争に巻き込んでいる。

特に注目すべきは、比亜迪汽車だ。もともとはバッテリーの製造会社で、1990年代に、それまで優勢だった日本製品の数分の一のコストでの生産を実現し、日本メーカーを抑えて市場を制覇した。そして、2005年に自社ブランドのガソリン車第1号を生産した。自動車の基本的なテクノロジーが変化して電気自動車の時代になれば、同社の存在はきわめて重要なものになる可能性がある。

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