(第47回)若い地元企業が中国経済を変える

同社は、84年に青島市から青島冷蔵庫本工場という集団所有制企業に派遣された張瑞敏氏が設立した企業だ。87年に「ハイアール」と改称した。赴任直後の張氏が、同社が生産した76台の不良品を全従業員が見守る中で打ち壊し、「品質こそ命」という考えを従業員全員に叩き込んだというエピソードは有名である。これによって、「中国製品は安いが粗悪品」というイメージを払しょくしたのだ。

さらに、彼は人事・労務管理に徹底的な競争原理と成果主義を導入した。そして、「農民出身者で一般労働者として採用された者でも、業績次第では管理者になれる」という方針を確立した。

こうしたことを見ていると、日本企業より競争的で、市場経済的であることが分かる。中国の成長企業は、単に中国市場が拡大したから成長したわけではないのだ。

もう一つの注目すべき企業として、建設機械メーカーの三一重工がある。主な製品は、コンクリートポンプ、コンクリートミキサー車、ロードローラー、舗装機械などだ。同社は、89年に国有企業から飛び出した4人が設立した。最近6年間で売上高が約9倍になるという急成長を果たした。11年の中国での売り上げは、コマツを抜いてトップになった。世界市場でも、いずれコマツ、キャタピラーに並ぶ企業になると考えられている。

「上から」の民主化は民間企業の成長次第

東京電力福島第一原子力発電所の事故の際、同社が開発したアーム長62メートルのコンクリートポンプ車が寄贈され、原子炉冷却作業に参加した。原子炉建屋内の使用済み燃料貯蔵プールや原子炉に放水するポンプ車の働きぶりは、世界中の注目を集めた。同社の製品は10年のチリ鉱山事故においても、作業員救出作業に活躍した。ハイアールも三一も、「中国製品は信頼できる」という認識を国際社会に広げつつあるのだ。

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10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

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