「家族でさえも、目が合うことが怖くて…」Netflix『匿名の恋人たち』で話題の「視線恐怖症」、3年間引きこもったボクサーが明かす"絶望と希望"
そうして自分を奮い立たせ続ける小川選手には最近、なんとも喜ばしい変化があった。少しの時間、限られた状況下でのことではあるが、なぜだか「人目が怖くなくなる」という奇跡だ。それは、ボクシングでの勝利の夜に現れる。
試合に勝つと、会場を出るまでの道のりには、彼を祝う人だかりができる。当然、「視線恐怖症」ならば人の目が気になってしまうはず。ところが、勝利を手にした夜だけは怖くない。むしろ、自分を見てほしいという気持ちがわくのだそうだ。
「ボクシングで勝ったときだけは、怖さよりも“誇らしさ”が勝る。『お願いだから自分を見ないでくれ』。日々抱いているそんな気持ちが、不思議と『俺っていうボクサーをもっと見てくれ!』に変わるんです」
『視線恐怖症』も一緒にリングへ連れていく!
リングの中で“夢中”になれる数分間は、症状の輪郭を薄くする。呼吸が深くなり、世界が再びピントを取り戻し、それでいて恐怖だけを曖昧にしてくれる。
「これまで僕は“理解”してくれる方たちに救われてきました。ファンや動画に応援コメントをくださる方はもちろん、ジムの会長やトレーナー、仲間たち。そして家族も。とても感謝をしています。
……もちろん、症状の波はあります。でも、希望があるから毎日を生きられる。『きついなあ、もう嫌だ』ではなく、『こんなにきついんだから、ここで負けてたまるか!』。その気持ちがあるから、思いを拳に乗せられる。『視線恐怖症』もほかの症状も、すべてひっくるめてリングへ連れて行き、これからも戦い続けたいと思います!」
最後に小川選手は、こう締めてくれた。
「あのドラマで『視線恐怖症』を知ったという方も多いと思います。もし近くに、僕と似た悩みの人がいたら──その人のペースを尊重してあげてほしいです。本人が望むやり方で、望む場所へと少しずつ近づけるように。
実際に同じ症状で悩んでいる方にはこう伝えたいです。僕にはボクシングがあります。イ・ハナさんにはチョコレートがありました。僕の症状は決して治っていません。でも、絶対的な“支え”がひとつあるだけで、精神は確かに回復に向かいます。心が軽くなります。“何か”でも“誰か”でも、あなたのその“ひとつ“を見つけてもらえたら嬉しいです」
彼のボクサー人生も、「視線恐怖症」と共に歩む人生も、まだゴングは鳴ったばかりのようだ。そんな彼が、いつかチャンピオンベルトを腰に巻き、観衆の熱に包まれながら、両拳を高く掲げる夜が来るはず……! その瞬間を、この目で見たい。声が枯れるまで、拍手で包み込んでみたい。
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