「オリオン座」「しし座」「北斗七星」…おなじみの星座たちは、数万年後に"どんな形"に見えているのか?
もっとも大きな固有運動の値を持っている星は「バーナード星」です。毎秒約100kmという猛スピードで運動していて、地球から見ると1年間に約10秒角(1秒角=3600分の1度)も動きます。
バーナード星は太陽系から2番目に近い恒星で、約6光年しか離れていません。ただし赤色矮星(わいせい)という暗くて温度の低い星なので、約10等級の明るさしかなく、肉眼で見ることはできません。
太陽系からもっとも近い恒星は「ケンタウルス座アルファ星」で、地球から4.4光年の距離にあり、秒速25kmで太陽系に近づいています。1等星ですが日本では沖縄以南でないと見られません。
ケンタウルス座アルファ星がもっとも太陽系に近づくのは、約2万8000年後のことで、3.1光年の距離まで近づきます。バーナード星も1万年後には3.8光年にまで接近します。
ちなみに、固有運動とは私たちの太陽系に対する星々の相対的な運動、つまり太陽系が「止まっている」と考えた時の動き方ですが、実際に太陽系が宇宙の中で静止しているわけではありません。地球が太陽の周囲を回っているように、太陽系は天の川銀河(銀河系)の中を回転運動しています。
国立天文台の最新の観測結果によると、太陽は天の川銀河の中心から約2万6100光年の場所にあって、銀河内を秒速約240kmで周回しています。天の川銀河を1周するのに、約2億年かかる計算になります。
5万年後、10万年後の星座を見てみよう
固有運動によって恒星がさまざまな方向に動いていくと、長い時間のうちには星座の形も崩れていきます。数十年や数百年では形はほとんど変わりませんが、何万年も経つと星座の形は大きく様変わりするのです。
その様子を、大阪市立科学館のプラネタリウムで2013年3月から6月にかけて公開されたプログラム『未来の星座を見てみよう』の内容を中心にして紹介しましょう。
おおぐま座の腰から尾の部分を構成する「北斗七星」は、明るい7つの星(6つの2等星と1つの3等星)で構成され、ひしゃくの形をしています。「斗」とはひしゃくの意味です。北極星を見つける際の目安の星としても、よくご存じでしょう。
現在の北斗七星は、ひしゃくの柄(持ち手)の部分がおおぐま座の「尾」の部分に、ひしゃくの合(水を汲むところ)の部分が「腰」の部分になっています。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら