「オリオン座」「しし座」「北斗七星」…おなじみの星座たちは、数万年後に"どんな形"に見えているのか?
そして8000年後にははくちょう座の1等星デネブが、1万2000年後にはこと座の1等星ベガが北極星となります。
ベガは七夕伝説の織姫星ですが、織姫は天帝の娘でした。その織姫星が1万2000年後に「帝」の座に就くとは、おもしろいものですね。
「恒(つね)なる星」もじつはそれぞれに動いていた
先ほど、ヒッパルコスが昔の星図を見ていて、地球の歳差運動を発見したことを紹介しました。それから1900年近くのちの、18世紀の初めに、今度はヒッパルコスが作った星図を見ていて、驚くべき発見をした天文学者がいました。
その発見とは「動かないはずの星、"恒なる星"であるはずの恒星が、それぞれ別の方向に動いている!」というものです。
天文学者の名前はハレーといいます。ハレー彗星が76年周期で地球に近づくことを予言したイギリスの天文学者として、よくご存じでしょう。
夜空に輝く恒星は、日周運動によって移動したり、地球の歳差運動によって位置を変えたりしますが、これらは地球の運動によってもたらされる見かけの動きです。
では、恒星は自分では一切動いていないのかといえば、そうではありません。実際には、太陽系に対して異なるスピード(毎秒数kmから100km程度)で、別々の方向へ動いています。しかし、地球から見える恒星は数光年から数百光年も離れているので、人間の一生ほどの短い期間ではその動きに気づかないのです。
恒星のそれぞれの動きのことを「固有運動」といいます。地球から見た方向の変化のみを固有運動といい、奥行き方向の運動は考慮しません。また、日周運動や歳差運動、さらには年周視差(地球が太陽のまわりを公転することで起きる、見える方向の違い)など、恒星自身の運動によらない影響は取り除きます。
ハレーは、ヒッパルコスなど古代の天文学者が作った星図と、当時の最新の星図とを比較して、0.5度以上も位置が動いている星をいくつか見つけました。それはおおいぬ座のシリウス(地球からの距離=約9光年)、うしかい座のアルクトゥルス(同約37光年)などです。0.5度といえば、太陽や月の見かけの大きさ程度です。
これらの星は地球から比較的近い距離にあるので、固有運動の値が大きく、そのためにハレーは位置の変化に気づけたのです。



















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