「オリオン座」「しし座」「北斗七星」…おなじみの星座たちは、数万年後に"どんな形"に見えているのか?
北極星は「真北にあって動かない星」として方位を知る手がかりなどに利用されてきました。ただし詳しく観測すると、じつは北極星も非常に小さな円を描いて動いていることがわかります。
地軸を北に延長した「天の北極」から、北極星は41分(1度=60分)だけずれているので、まったく動かないわけではないのです。しかも、昔の北極星はさらに大きく動いていたことがわかっています。
これは地球の地軸がゆっくりとした首振り運動、いわゆる歳差運動をしているためです。回転体に外部から力が加わると、回転軸が周期的な首振り運動をするのです。
地球の場合は、太陽や月の重力によって歳差運動が起こります。その周期は約2万6000年です。
北極星は時代とともに別の星へ受け継がれていく
地球の歳差運動に気づいたのは、古代ギリシャ時代の紀元前2世紀に活躍した天文学者のヒッパルコスでした。彼は古い星図とその当時の星空の様子を見比べて、星の位置が昔とずれていることに気づき、その原因が地球の歳差運動にあると考えたのです。
歳差運動のために、天の北極は長い歳月をかけて変わっていきます。今から5000年前、ピラミッドが建設された頃は、りゅう座の4等星である「トゥバン」という星が天の北極にありました。
一方、ヒッパルコスの時代(今から2200年ほど前)には、こぐま座ベータ星が天の北極に比較的近かったので、これを北極星としていました。こぐま座ベータ星には「コカブ」という固有名がありますが、アラビア語で「北の星」を意味する言葉に由来します。
古代中国の秦の始皇帝は、自らを「天の中心」である北極星になぞらえ(「帝」とは北極星のこと)、権威のよりどころにしたそうです。始皇帝はヒッパルコスより1世紀ほど前の時代の人ですが、当時の北極星とは「コカブ」のことです。
その後、今から1500年前から、こぐま座アルファ星が天の北極にもっとも近い星となって、「北極星」の座を占めるようになります。天の北極にもっとも近づく(28分まで近づく)のは、今から100年後のことです。
その後も歳差運動によって天の北極は移動し、北極星と呼ばれる星も代わっていきます。2000年後から6000年後にはケフェウス座の星々が北極星を受け継いでいきます。



















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