「育ちの悪い人」を再教育することはできない なぜ兄嫁は横暴に振る舞えるのか

✎ 1〜 ✎ 134 ✎ 135 ✎ 136 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それとは反対に、ご相談者様と同じ小姑の立場の和子さん(仮名)は、両親を、極悪非道な兄嫁から救ってやれなかった後悔で、今も時々口惜しさに打ちひしがれそうになるそうです。あなたと同じように、和子さんの家族も皆さん、性格がおとなしく、できるだけ争いは避けたいと考える人たちです。驚くほど似ていますが、和子さんの母親も、娘たちが兄嫁の親への非常識をなじりますと、「そんなことはない、よくしてくれている。口出しするな」の一点張りでした。

加えて「兄嫁とけんかするのは、長男とけんかすることと同じ。長男を下の兄弟がバカにするのは、野蛮人のすること」と、儒教思想の沁みついた、わかったようなわからない理屈で、長男を立てることばかりを、下の弟妹たちに言い聞かせたそうです。兄弟げんかを見るのは、嫁からの自分に対する虐待より、つらいということでした。

ここまで徹底すると、全員がマインドコントロールにかかったのと同じです。兄嫁にその非常識を忠告する人はいませんでした。和子さんの兄嫁は、兄の前では姑と笑い合った話などをしますが、実際は親が話しかけても返事もせず、平気で無視ができる人でした。夕食時に、何も支度せず黙って行方不明になるなどは、日常だったそうです。犬の「おあづけ」でも準備はできているのにと、和子さんは悔しそうに語ります。

こういう人はおカネにも汚くて、夫からもらう潤沢な家事費も、まず親の少ない収入を全部使わせてからしか、一銭も出しません。嫁ぎ先の義父母を、物心両面で虐げるのです。

和子さんが今に至るまでの人生最大の後悔は、あのマインドコントロールを自分で解いて、長男夫婦から親を救ってやれなかったことです。長兄に兄嫁が親にしている虐待を暴露し、兄嫁は外面がよかったので、その方面にも真相を暴露して恥をかかせる存在になっておれば、少しはブレーキになったのではないかということです。

本当に別居は無理だったのか、と今でも自問しているといいます。家庭内のことは全員が世間に秘密にしたので、兄嫁さんはやりたい放題、言いたい放題でした。

和子さんが60代の健康だった母上の、最後に立ち会った時のことです。虐待によるストレスの蓄積に負けたと感じ、涙が止まらなかったそうです。汚れ役を買って出ず、救ってやれなかった自分も共犯だという自責の念は、今も消えないと言います。外面だけがよく対面だけを重視するその長男夫婦が、当時では珍しい立派な葬儀を出したのは、言うまでもありません。もちろん金銭は兄弟負担だったそうです。そしてその兄嫁は今も、「自分ほど嫁として親孝行をした者はいない。何も悔いはない」と自慢して回り、和子さん兄弟の傷口に塩を塗り続けています。

家族の病も、早期外科治療が一番

里子様、早期別居を選んで心の平安を得た剛田夫人を参考にしますか? それとも性善説を信じて病に倒れた、和子さんのお母様の体験を教訓にしますか。

やや極端に映るかもしれない事例ですが、これらは実話であるのみならず、よくある二世帯住宅のトラブルパターンなのです。もっとも、優しくて賢い姑さんの賢明な教育や説教・誘導で、随分成長されるお嫁さんも、いらっしゃるにはいらっしゃいますが、それは本当にまれです。里子様の兄嫁さんには、それは期待できないと思います。お母様が時には、品性の低い兄嫁さんのレベルにまで下がる必要がありますが、お母様が優しすぎるのと彼女が悪すぎて、それは無理です。

里子さんたちが想像している以上に、ご両親は心腐る日々をお過ごしのことと、想像されます。手遅れになる前に、貴女が“汚れ役”を買って出て兄嫁に毅然と対峙し、母親を守るべきです。さもないと和子さんのように、一生後悔しますよ。

ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事