「AI時代に人間の仕事と呼べるものは何か」けんすう氏が語るこれから必要とされる1つのスキル
古川:ただ、経験知になんないっすよ、みたいなことやっちゃう人も、糧にできない人もいる。そのとき、1つあるのが「抽象度高める」。抽象度高められる能力がある人って、格闘技を習っても「完全にこれは経営と同じだな」みたいに抽象化して、結びつけて学びにできちゃうんですよ。
――経営と格闘技、ですか。
古川:柔術やってる人が言ってて抽象度高いなと思ったのが、柔術って相手のリアクションを利用して技を決めていくスポーツらしいんですね。そうすると「これ、ビジネスと同じだ」と。競合とか市場の動きによって素早くリアクションして、その力を利用して強くしていかないと、自分の腕力がいくら強くても勝てない、と。これ、多分、抽象度高いとわかるが、低い人だと「柔術やったけど格闘技合わなかったわ。これ経験無駄だった」で終わっちゃう。
抽象化が世界観の土台を作る
――なるほど。日常の解像度が変わりますね。
古川:そうです。さっき社員が、領収書を経費精算のためにくしゃくしゃになったやつを広げてると。「これ全部人生と同じで、大事なものほどくしゃくしゃになってゴミのように思えるが、それをゴミ箱に捨てる人と、あの“伸ばす”っていう一手間をやる人とで全然結果違いますよね」って言ったら、何言ってんだって叩かれたんですけど(笑)。まあ、そういう訓練をするんですね。無理やりでも抽象化してみるとか。
AIが「正解」を高速で出せる時代だからこそ、問われるのは「あなたはどう思うか?」という「世界観」です。そしてその世界観は、日々の経験を単なる「出来事」で終わらせず、人生やビジネスの「教訓」にまで高める「抽象化」の訓練によってしか磨かれない。この視点が、AI時代を生き抜く人間的な武器なのかもしれません。
(取材・構成/川村浩毅)
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