「AI時代に人間の仕事と呼べるものは何か」けんすう氏が語るこれから必要とされる1つのスキル
――AIが目的や成果を提案してくる、と。
古川:ええ。「このサイトの課題を教えてください」って言うと、多分「集客です」って言われるし、「集客の中ではこういう対応があります。それぞれやります」となるので、やってくれそうな気はしますね。Webサービスを流行らせる、ぐらいだともう「正解」があるのでできちゃうんですよ。「人たくさん呼ぶんですよね」とか「売り上げあげるんですよね」とか。
だから、その目的とか成果が、AIでは出せないような「個性的」なもののほうがよくて。
AIには出せない「個性」の育て方
――AIに出せない個性的な目的、ですか。
古川:例えば幻冬舎の箕輪厚介さん。彼は「SBNR(スピリチュアルだが宗教ではない)」という概念に注目して、「人間エネルギーカード」を作って10万円で売ってるじゃないですか。あれ、普通の編集者がAIに「これから何すべきか」を聞いても絶対出てこないはずなんです。「エネルギーを入れてカード売りましょう」とは出てこない。でも、箕輪さんの中では「本の編集ではなく、エネルギーのカードを作る」という定義があるので、それをやっている。これはやっぱり彼の個性ですよね。
普通の編集者だったら「本をたくさん売りましょう」「そのために1年に10冊出します」となると思うんですけど、箕輪さんは「売れなくてもいいので1年に1冊だけの出版社作りましょう」とやっている。AIは箕輪さんの「エネルギーカード」の答えは出しづらいが、前者の「本を10冊出す」答えは誰が言っても同じような答えになる。その「目的と成果の定義」をやったら、これはAIに置き換わる可能性ありますね。
――そのAIに出せない「世界観」や「個性」は、どうすれば持てるのでしょうか?
古川:それこそ、著書(『AI時代に仕事と呼べるもの』)の中にあって、やっぱり「経験知」なんですよ。「行動や体験に基づいた独自の知識とか知見」がすごく重要。出発点の角度が違うだけで、AIのアウトプットが変わる。



















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