仕事の8割をAIに任せて見えた「残り2割の人間的価値」【けんすう氏が語るAI時代の生存戦略】

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古川:株式会社の時代は「利益が多ければいい」というのがあった。でも、だんだん我々の感覚的にも「儲かってればいい」じゃなくなっていますよね。「人類に対してこういう貢献をしてる」とか「周りの人たちが喜んでくれる」とか。そこの「こうなったらいいよね」って成果を決める部分が、すごく重要な仕事になった。今までは意外とそれが重要でなかった。なぜなら人を動かすのにすごいコストがかかってたから。

でも、これが1人でよくて、月30万稼げてればOK、みたいになったときには、今までなかったようなサービスや仕事ができてくる。1人1時間で作ったから、100人が1000円払ってくれて10万円です、は、めっちゃいいじゃないですか。

――確かに、コスト構造がまったく違いますね。

古川:ただ、大企業が大変かというと、有利な点もあって。「誰でも作れるようになると、『東洋経済が作ってる』みたいなやつの価値がものすごく上がってる」んです。出版社の人とかは逆にすごい有利。似たような内容を素人がノートで売ってても信用できない。ブランドは強烈に強いです。

キャリアを長期目線で考えるのは非効率

――では最後に、企業で働く個人(プレーヤー)は、どうキャリアを考えればいいでしょう?

古川:プレーヤー目線は結構難しい。なぜなら未来が本当に予測できないから。「どうやったら生き残れますか」という質問に、全人類誰も答えられないはずです。だから、長期目線で考えるのが多分非効率かなと。

「コーゼーション(Causation)」と「エフェクチュエーション(Effectuation)」という概念があります。コーゼーションは、50歳のときこうなってたい、から逆算して20代の動きを決めるとか。でも、キャリアだと30年とか長い。30年前ってGoogleもスマホもなかったわけですから。

「エフェクチュエーション」は、その場で使える人脈とかスキルを使って「次これできそう」っていうのを頑張る。そうやるとまた新しいスキルや人脈ができるので、それを使って次の一歩を考える。逆算ではなくて積み上げていく。こっちのほうが今、合うんじゃないかな、と。

未来は予測できるが、タイミングは読めない。AIが来るよ、は予測できたけど、2、3年前に「今」こうなるかは読めなかった。タイミングが読めないとキャリア設計は難しい。だから、割と「起こった瞬間」にリアクションしなきゃいけない、みたいな感覚で今いますね。

後編に続く)

(取材・構成/川村浩毅)

けんすう 起業家、投資家

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2003年にしたらばJBBSを運営するメディアクリップ代表取締役社長、2004年にライブドアに事業譲渡。2006年にリクルートに入社し、インターネット系の新規サービスの立ち上げに関わる。2009年に株式会社nanapiを創業、2014年にKDDIグループにM&Aされる。2019年1月にマンガコミュニティサービス「アル」を運営するアル株式会社を立ち上げる。

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