仕事の8割をAIに任せて見えた「残り2割の人間的価値」【けんすう氏が語るAI時代の生存戦略】

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――となると、AI時代のマネジャーに残る役割とは何でしょうか?

古川:やはり「ゴール設定」は必要です。そして、ゴールに向かって「始めさせる」こと。これはリーダーの役割かもしれませんが、重要です。始めちゃえばみんなAIを使って早いのですが、始まらないことにはどうにもならない。「巻き込む力」とは、僕はあまり使わなくて。「始める力」に近いですね。

――チームを「始めさせる力」に、「人柄」や「好き嫌い」は関係しますか?

古川:組織の形態自体がもう変わると思っています。これまでの会社組織の中のマネジメントというより、業務委託の人と働くとか、今回の取材のように1対1だが違う会社、みたいなケースのほうが増えていく。こういう場面だと、「人柄」とか「あの人に仕事頼みたい」というのが増えてくると思います。

「嫌いだからやれと言われたらやる」みたいな関係性も減っていくんじゃないかな。それって、産業革命で工場が発明されてからの、今までの「特殊な働き方」だと思うんです。

産業革命のときに筋肉以外の力を使えるようになったのと同じ感じで、今、人間の頭以外の知能を使えるようになった。だとしたら、工場からの延長線上にある今の大企業みたいな形はなくなるのでは、と思っています。

――組織の形が変わると。

古川:ええ。大人数でやることが1人でやれるようになります。昨日クライアントさんから「こういうサービス作れませんか」と昼過ぎに来て、今日の昼間にミーティングだったんですけど、もう1人のプロデューサーがサイトを作って動くものまで作って「こんな感じっすよね」って話していました。今までだったらデザイナー、ディレクター、エンジニアが1カ月ぐらいやっていた。それが1人で1時間で済むなら、そっちのほうがいい。

「始められる人」がAI時代には重宝される

――そうなると、AI時代にビジネスパーソンの「価値」の源泉はどこにあるとお考えですか?

古川:周りを見てても「始められる人」はとにかく強い。ネットで有名なとあるエンジニアさんでも1人でとんでもなくいい翻訳サービスを出して、1カ月目でもう結構な売上が立っているらしいです。

これは本(『AI時代に仕事と呼べるもの』)の中でもあった気がするんですけど、「仕事の目的(ゴール設定)」と「どうなると良かったのか(成果の定義)」、ここがすごく重要です。なぜなら、ここに「世界観」が出るんですよ。

次ページ厳しくなるプレーヤーのキャリア
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事