ついに国有化される東京電力 変革までの険しい道のり

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が、社内にこびりついている「大東電」の意識を改革するのは容易ではないだろう。その心意気がまず試されることになるのが、値上げだ。東電は「パンフレットを作ったり、ありとあらゆる手を尽くして説明をして理解していだけるように努力する」(西澤社長)としているが、現場の努力だけでなく、新経営陣が国民に理解できるような説明を行うことが必要だ。それ以前に、原発事故の被害者への賠償や廃炉についても、不手際や透明性の低さがいまだに指摘されており、この点の改善を行っていくことも欠かせない。

今春、東電問題が正念場を迎える中、勝俣恒久会長邸では夜な夜な奇妙な光景が繰り広げられていた。「会長おかえりなさい」--。勝俣会長が車を降りると同時に、取材に集まった記者たちがずらりと整列して声を掛ける。マスコミ側にも問題はあるが、これこそ「上から目線」とされる今までの東電の姿そのものだ。

政府による出資はいわば国民一人一人が株主になったも同じだ。東電が大きな節目を迎えた今、東電が意識改革を進めるには経営陣以上に、国民が鋭い目を光らせることが絶対的に必要となる。

(倉沢 美左 =東洋経済オンライン)

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