就職難に追い打ちをかけるのがスチューデントローンの返済です。大学生の7割はスチューデントローンの借金を背負って卒業し、そのうち9割近くが3〜4万ドル(約4〜500万円)もの借金を返しているという数字もあります。今、日本の大学生の4割が奨学金をもらっていますが、アメリカではそれ以上に多額の負債を抱えたまま社会人になる若者が多いのです。
そういった状況の中で、多くのミレニアルズは結婚よりキャリアや経済的安定を最優先させる傾向にあります。
「結婚したくない」わけではない
これは男性に限った事ではなく女性も同様です。興味深いことに2011年のピュー研究所の調査では、「キャリアの成功が何よりも大切」と答えたミレニアルズ女性が66%いて、男性の59%を上まわりました。現実にアメリカの子どものいる家庭の4割は女性が稼ぎ頭ですから、女性にとっても経済的な自立は重要です。
ただし、彼らは「結婚したくない世代」というわけではありません。ホワイトハウスの調べでは、彼らが高校生の時行ったアンケートで実に8割が「自分は将来結婚するだろう」と答え、6割は子供を持つだろうと答えています。
この数字はジェネレーションXとベビーブーマーに比べるとむしろ高くなっています。つまり結婚したくないからしないのではなく、先延ばしにしているだけというわけです。日本のさとり世代にも結婚したいと答える若者が多数いるので、同じ状況にあると言えます。
ところでこのミレニアルズの結婚先延ばしの理由は、もうひとつあります。
国勢調査によれば、2013年現在アメリカには800万組の結婚しないカップル、つまり同棲カップルがいます。2006年の500万組に比べ大幅に増加しています。その増加にミレニアルズが貢献しているのです。
2011年のピュー研究所の調べでは18歳~29歳の若者のうち、結婚しないでカップルで同居している人は9.2%で、1997年の5.8%に比べ急増しました。
最大の理由は、2人で住めば家賃の節約になる、という経済的なもの。家賃の他にも生活費はシェア。しかし夫婦ではないのでお互いの収入がいくら、といった事には立ち入らないし結婚ほどの責任は伴いません。中には共同名義の銀行口座を作り、そこに生活費分だけを入れて使っているというやりくり上手な夫婦顔負けのカップルも増えているようですが、ちょっとしたお試し婚の機能も果たしているようです。