【秋ドラマ】序盤の「評価」を勝手につけてみた。竹内涼真や菅田将暉の好演が光り、謎が深まる大泉洋主演作…。「前半の激戦」を抜け出したのは?

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第1話は、登場人物が続々と表れ、物語がどこに向かうのか見えにくかったことなどが酷評された。そのあと、第2話でストリップ劇場を演劇場に生まれ変わらせるために、多様な登場人物たちが一致団結していく様が描かれると、ポジティブな声が増え、風向きが変わったように思えた。

しかし、その後の視聴率は下降傾向が続く。

第5話は三谷節が炸裂していた。寄せ集め劇団の旗揚げ公演の日に、さまざまなトラブルや困難が怒涛のように押し寄せる。そこに映される人間模様と主人公の劇作家・久部三成(菅田将暉)が奮闘するドタバタ劇は、三谷脚本の真骨頂だろう。

菅田将暉は若き日の三谷幸喜氏の姿を体現している。その雰囲気も仕草も顔さえも、菅田将暉が三谷幸喜氏に見えるくらい憑依している。本作には、彼をはじめとする役者陣の熱量がひしひしと感じられ、一時代を築いた劇作家の哲学や信念がにじむその物語には、時代や社会を超えた人生の学びが映されている。

もしがく
第1話では、菅田将暉が演じる主人公・久部三成が、ダンサーの倖田リカ(二階堂ふみ)と出会う(画像:フジテレビ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』公式サイトより引用)

暑苦しい昭和の演劇界の若者たちの物語は、視聴者を選ぶかもしれない。しかしそこには、窮屈で生きにくい社会を変えようとするエネルギーが宿っている。それはいまの時代にこそ必要な意識であり、社会への視点なのかもしれない。

次週の第2部からは、また風向きが変わり、強烈な追い風が吹くかもしれない。そんなポテンシャルがある物語であることは間違いない。これからの展開にもっとも注目しているドラマだ。

不穏な世界観に覆われる“青春群像ミステリー”の怪作

ミステリー好きにはたまらないだろう今期のイチオシは『シナントロープ』(テレビ東京)。

街の小さなバーガーショップ・シナントロープを舞台に、複雑に絡み合う人間模様のなかで、いくつもの謎が事件につながる、男女8人の若者たちの青春群像ミステリーだ。

本作の脚本は、2021年に話題を巻き起こしたアニメ『オッドタクシー』(テレビ東京系)を手がけたことでも知られる此元和津也氏。社会の闇と隣り合わせの日常の不気味さと緊迫感のなかに、リアルな若者たちの空気感を巧みに映し出すストーリーテリングは、『オッドタクシー』に通じる。

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