伝説の万引きGメンが不都合な真実を告発!「お店の真の敵は万引きではない」損失1.6億円超をもたらす"本当の犯人"の正体
しかし、と望月さんは釘を刺します。こうした特徴はあくまで傾向であり、それだけで判断することは絶対にしない、と。
「『顔を見ればピンとくる』なんて言うGメンもいますけど、表情や行動だけで判断して早々に接触すると、誤認確保につながる可能性があり、非常に危険です。一番大切なのは、地道な追跡と観察で、商品を持ったまま店を出るという犯行の瞬間を決して見逃さないこと。これに尽きます」
その言葉には、人の人生を左右しかねない仕事の重みを知る、プロフェッショナルとしての覚悟が滲んでいました。
中学2年生と高齢者層に万引き犯が多い理由は?
望月さんの武器は、こうした現場での鋭い観察眼だけにとどまりません。長年蓄積してきた膨大なデータに基づいた、客観的な分析も得意としています。
「こちらの図を見てみてください。我々が抽出した、万引き犯の年齢分布です。一番最近の折れ線グラフが示す通り、ひとつ目の山は、中学2年生にあたる14歳。これは、いわゆる“中だるみ”の時期で、興味本位のいたずら的な犯行が多いのが特徴です。そして、もうひとつの大きな山が高齢者層にあるのがわかると思います」
なぜ、高齢者の万引きが多いのでしょうか。望月さんは、その背景に「まだ終わっていない戦後がある」と指摘します。
「この高齢者の山を作っているのは、戦前・戦中・戦後の混乱期に幼少期を過ごした方々です。とにかく食べること、生きることに必死で、『人のものを盗ってはいけない』という親のしつけや思いやりの文化を、十分に受けられなかった世代とも言えるかもしれません。我欲に走らざるを得なかった時代の記憶が、心のどこかに残っているのではないでしょうか」
鋭い直感と膨大なデータ分析。その両輪を以て、望月氏は59年間、現場に立ち続けてきたのです。



















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