米国中心の"海の秩序"が揺らいでいる
先生 世界中のシーレーンを、守ってくれていたのが米国です。
米国は世界中の国々と貿易を行っているので、このシーレーンが脅威にさらされると、自国の経済に支障をきたすからです。その防衛のために、米国は最強の海軍を世界中に展開しています。これができるのは米国だけです。
陽菜 米国が守ってくれているのであれば安心ですよね。あっ、でもそうじゃなくなるってことですか?
先生 すぐに大きな変化が起こることはないかもしれませんが、トランプ関税のような自国第一主義の政策が強まれば、今後は米国が直接関わる貿易も減るかもしれません。
そうなると、米国が世界中のシーレーンを守る必要性も下がります。
陽菜 たしかに、自国に関係のないところまで守ることはなさそうです。
先生 一方、トランプ大統領は、パナマ運河を米国に寄こせとパナマ政府に強く要求しています。
やり方は乱暴すぎますが、これは、米国にとって最も重要なシーレーンであるパナマ運河の安全航行を確保しようという強い意志のあらわれです。
陽菜 なんだ、トランプ大統領も、シーレーンの安全を維持しようとしているじゃないですか。
先生 でも、注意してください。パナマ運河は米国に地理的に近く、太平洋と大西洋を結ぶ、米国にとっての最重要地点です。米国の地理的条件は非常に恵まれていますが、ここは数少ないアキレス腱の1つです。
陽菜 米国にとって、パナマ運河はただのシーレーンではない、と。
先生 そうです。例えば、日本のシーレーンにとっては重要な南シナ海での中国進出について、トランプ大統領はパナマ運河と同じくらい真剣に考えるでしょうか?
陽菜 うーん、どうでしょうか。少なくとも日本にとっては重要ですよね。
そうか、もしそうだとすれば、日本の近海は日本が自分で守れ、となることもあるということですね。
先生 その可能性はじゅうぶん想定できます。



















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