正体は喜多川歌麿? 葛飾北斎? 大河「べらぼう」でも注目、10カ月で引退した「謎の絵師」写楽は何者なのか?

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東洲斎写楽筆「二代目瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木と中村万世の腰元若草」(画像:国立文化財機構所蔵品統合検索システム)
東洲斎写楽筆「二代目瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木と中村万世の腰元若草」(画像:国立文化財機構所蔵品統合検索システム)
NHK大河ドラマ「べらぼう」では、江戸のメディア王・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)を中心にして江戸時代中期に活躍した人物や、蔦重が手がけた出版物にスポットライトがあたっている。連載「江戸のプロデューサー蔦屋重三郎と町人文化の担い手たち」の第45回は、蔦重が見出した謎の絵師「写楽」について解説する。
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蔦重が逆境で咲かせた花は「美人絵」だけではなかった

「逆境で咲く花は、すべての花の中でもっとも珍しくて美しい」

ディズニー創業者のウォルト・ディズニーが残した言葉だ。

「絶対に失敗する」と評論家から酷評されながらも、1955年7月17日にオープンしたディズニーランドは初日から大混乱だったらしい。予想をはるかに上回る人数が詰めかける中、アトラクションの故障が相次ぎ、炎天下にもかかわらず飲食物はすぐに品切れに。午後にはさらに気温が上がり、舗装したてのアスファルトが溶け出し、ハイヒールが突き刺さって脱げたゲストもいたという。

散々なスタートとなったが、そこからウォルトは完璧な「夢と魔法の国」を作り上げるため、すさまじいほどのこだわりを追求。絶大な人気を誇るテーマパークへと生まれ変わらせている。冒頭の言葉通りに、逆境から大輪の花を咲かせたといえよう。

蔦重もまたピンチを飛躍につなげている。

幕府から「身上半減」の処罰が下されて、財産を半分にされても、意気消沈することなく、美人絵で活路を見出す。従来のような全身図ではなく、上半身をアップにする「美人大首絵」を喜多川歌麿に描かせて、大ヒットとなった。

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