歌舞伎役者の似顔絵を描いていたが、役者の実像をリアルに描こうとするあまりに、不都合な様を描いたために、長くは活躍できず、1、2年でやめてしまった――。
その斬新さがゆえに意外と早くに飽きられてしまったのだろうか。もしくは、歌舞伎界から反発が上がったのかもしれない。いずれにしても、蔦重ならば、その状況さえも逆手にとって、写楽にさらなる挑戦をさせそうなだけに不可解である。
写楽の登場が蔦重と歌麿の関係性を変えた?
ちなみに、写楽が登場する頃に、歌麿は蔦重と距離を置くようになった。蔦重のもとであれだけ美人絵を盛んに描いていたのに、他の版元からの依頼を精力的にこなすようになる。
蔦重が写楽に入れ込んだために歌麿が離れたのか、それとも、歌麿が離れたので蔦重は写楽を見出したのか……。
NHK大河ドラマ「べらぼう」は最終回まであと数回となったが、写楽はまだ登場していない(2025年10月28日現在)。その正体とともに、歌麿と蔦重の関係性の変化にどう影響を及ぼしたのかも、注目されている。
【参考文献】
鈴木俊幸『蔦屋重三郎』 (平凡社新書)
鈴木俊幸監修『蔦屋重三郎 時代を変えた江戸の本屋』(平凡社)
倉本初夫『探訪・蔦屋重三郎 天明文化をリードした出版人』(れんが書房新社)
山村竜也監修・文「蔦重の復活と晩年 その後の耕書堂」(『歴史人』ABCアーク 2025年2月号)
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