「ほんとの"ムサコ"はこっち」「武蔵小杉みたいにタワマンだらけになったら寂しい」ーー街の住民が「反対はしないけど...」と再開発に抱く葛藤

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これまでの街ぶら取材の経験から、商店街には大きく3つの型があるように感じている。ひとつは武蔵小山のパルム商店街のように駅を起点にした「駅直結型商店街」。

もうひとつは駅から少し離れた住宅街にある「住宅街型商店街」、そして3つ目が東京浅草の「仲見世商店街」のような「観光地型商店街」だ。再開発計画が進みやすいのは、「駅直結型」で、一定程度以上の規模を持つ商店街だ。

あくまでも私の印象だが、たぶん大きくは外れていないと思う。街の取材をしていると再開発が進む場所に行き当たることがよくある。記憶に残っているところだと、東武東上線の大山駅界隈や、せんべろの聖地である京成立石駅界隈だ。どちらも駅直結で大規模な商店街を持っている。

駅直結でも川沿いの商店街は…

一方、駅直結の商店街でも川沿いでそれ以上区画を広げられないとか、土地が小さく規模の拡大が見込めない場所は再開発はされにくい。

立石駅通り商店街
立石駅通り商店街(筆者撮影)
ハッピーロード大山
ハッピーロード大山(筆者撮影)

高度経済成長期までは、東京のど真ん中でも工場や倉庫などがあった。製品を作る場所と消費する場所は近いほうが効率が良かったからだ。その後、交通の便が向上し運送費が相対的に下がってくると、工場や倉庫は郊外に移転していった。空いた場所に巨大ショッピング施設が建設され、周りの商店街は客を奪われた。

昔からの個人商店は跡継ぎが確保できず、商売から手をひいて、大資本のチェーン店に土地を貸す。どこにでもあるファストフード、ファストファッションが並び、かつての商店主たちは「個性がなくなった」と嘆く。やがて再開発の話が持ち上がり、なし崩し的にその計画に従う。

それが悪いと言っているのではない。古い商店街の店舗は木造のものが多い。商店街だから店は隙間なく建てられている。いわゆる木造密集の姿だ。地震や火災には弱い。

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