もはや"現場の対応"では立ち行かない…「カスハラ対策」と「クレーマー対策」の本質的な違いとは

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しかしながら、従業員のミスはあくまでもきっかけに過ぎません。そういった場合のカスハラは、相手がミスを針小棒大に申し立てて過剰に要求することで生じるのです。

そのため従業員としては失礼な言動に限って謝罪すればよく、それ以上の要求に応じる必要はありません。ミスをしない人間などいませんから、従業員のミスが生じた後に、企業として適切に対応していればそれでよいのです。

ミスをしたことに対して、相手が過剰に要求する、または、暴言を吐くなどの不相当な行為によってカスハラが生じるわけですから、カスハラは、個々の従業員の責任で生じるのではなく、迷惑行為を行う相手によって引き起こされるものだと言えるのです。

昨今、カスハラが社会問題化した結果、多くの企業がカスハラ問題に対処する必要性を感じています。

しかしながら、企業の責任者のなかには、自身が「過剰な顧客至上主義」にどっぷりつかってクレーマー対応に成功した経験をもっていることが多いため、現状とズレた対策を講じてしまうことがあります。

本質的な解決につながらない「カスハラ対策本」

最近でも私が企業の責任者と接した際に、「カスハラ加害者もお客様である以上、結局は、現場の接客対応で何とかしていくしかない。本当にカスハラで困ることがあるのであれば、警察を呼べばいいからそんなに問題ないのではないか」と言われることがあります。

おそらくこのような発言をされた方には、クレーマー対応で過去に成功体験があるのかもしれません。

こうした発言は、個々の従業員の接客対応にカスハラの責任があることを前提とするものであって、カスハラの本質が「嫌がらせ」であることをわかっていないのかもしれません。

カスハラ対策は、カスハラとクレーマーの本質的な違いを理解していなければ実効的なものにはなりません。現在でもカスハラ対策本のなかには、従来のクレーマー対策の延長線上で書かれているものがたくさんあります。

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